知財自在

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企業知財部に関する疑問・悩み相談① 事業部経験は知財部で活きるか?

ご無沙汰しております。

 

私は、ブログ更新が約1年半振りとなってしまった、企業知財部の弁理士です(笑)。

 

前回から随分時間が空いてしまったのをいいことに、今回から体裁を少し変えてみようと思います。具体的には、これからは企業知財部に関連する様々な疑問・悩みに答える形で、記事を書いていくつもりです。

 

2社目の知財部の中年管理職ともなると、日々、若手社員、他社から転職してきた社員、他の部署からの異動希望者などの疑問・悩みを聞くようになるものです。今回、記事の書き方を変えようと思ったのは、そのような疑問・悩みや、それに対する私の回答が、他の知財関係者の方の役に立つかも、と思ったからです。

 

以上のような前提で、栄えある第1回のお題は、記事タイトルの通り以下となります。

”事業部経験は知財部で活きるか?”

 

これは、当時、事業部の設計部門にいた知り合いから質問を受けたものです。彼は、事業部門の仕事のハードさに嫌気がさし、知財部に移りたいと考えていました。とは言うものの、すでに30代半ばだったので、新しい部署でやっていくにあたって、これまでの業務でやってきた内容が活かせるのかどうかを確認したくて、私に質問してきたのです。

 

結論を先に言いますと、この質問への回答は明確に”イエス”です。

私が認識している事業部出身者の強みは以下の3つです。

 

1.コスト意識

2.期日の厳守

3.スピード感

 

これらがなぜ企業知財部の業務に活かせるのか、順番に説明します。

 

1.コスト意識

 モノづくりをしているメーカーの事業部などでは、常にコスト削減圧力にされされています。下手をすると、1円単位の削減を頑張る場合もあります。それくらい費用対効果にうるさく、このような意識を当然にメンバーにも求めます。

 よって事業部出身の知財部員は、値下げ交渉や、よりコストパフォーマンスが高い事務所を選定するなどの意欲・スキルに長けていると思われます。元々、知財部には研究所出身者が多く、コスト管理が緩い雰囲気があるので、事業部出身者のこのような意識は重宝されます。

 

2.期日の厳守

 知財業界は法定期限があるので、もともと期日には厳格なイメージがあると思います。しかし、これはあくまで事務所の話。企業知財部で事務所に外注しているところは案外ルーズなところがあるのではないでしょうか?

 この点も、事業部出身者は、自分が発注を受ける方の立場、つまり相手がお客さんの立場である状態でずっと仕事をしてきたので、期日に対する緊張感を高く持っています。

 

3.スピード感

 2.と関連する部分もありますが、やはり事業部はスピードが早いです。お客さんへのサンプル出荷など、研究所と比べ短い周期での締め切りを抱え、しかも上述の通り、なんせ相手方は買う立場なので、自分より相手のペースに合わせなければなりません。この点もスピードが要求される一因であると言えます。

 以前、会議の場で、研究開発部門の人に対して、事業部の人が「のんびりしてるなあ」と言っているのを見たことがあります。研究開発部門と事業部が連携して問題解決に当たらないといけない状況でこの発言が適切だったかどうか?、それはともかくとして、事業部が研究所よりスピードを要求されているのは事実だと思います。

 昨今よく言われている知財部の事業貢献は、事業部との連携によって達成されることが多いと思われます。そうすると、事業部経験者のスピード感は、これら連携をスムーズに進めるために、役に立つように思われます。

 

1.〜3.の通り、事業部での経験は、研究所でのそれとはまた違った強みを知財部にもたらすと思われます。よって仮に一定の年齢が過ぎていたとしても、事業部所属の方には、今後のキャリアとして、ぜひ知財部を検討してもらえればと思います。

 

事業部出身者の知財部員の強みを改めて以下にあげます。

 

<本日のまとめ>

1.コスト意識

2.期日の厳守

3.スピード感

 

本日は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。