知財自在

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企業知財部に関する疑問・悩み相談③ 上司や先輩が指導してくれないんです!

 皆さん、こんにちは。

 私は、年度末の業務集中真っ最中の弁理士です(笑)。

 

 さて、記事の書き方を、企業知財部に関する疑問・悩み相談の形式にしてから、3回目となりました。

 今回のお題は、”上司や先輩が指導してくれないんです!”、となります。

 

 私の勤務する会社は、知財部の傘下に業務ごとに複数のGrを有しており、今回のお題は、私の所属するGrとは別のGrの若手から相談を受けた際のものです。

 その若手はいま出願業務を担当してるのですが、そのGrは職人肌の人が多いのか、あまり業務のことを教えてくれないのだそうです。彼の話によると、ほとんど放置に近い状況とのことでした。

 

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 私自身も研究開発部門にいた頃、いわゆる”放置系”の上司の元で働いたことがありましたので、今の彼の置かれている状況、不安感や心細さといったものは十分に理解できました。

 一方で、彼の意識の中に、まだ会社を学校・上司を先生と思っているような、そんな危うさも感じていました。企業での業務経験が長い方には共感いただけると思いますが、この点は、学生から社会人になった際に、多くの人が最初に感じるハードルのようにも思えます。

 このことを踏まえ、無事学生から脱皮して今後も会社員としてやっていけるようになってもらうべく、彼には以下のアドバイスをしました。

 内容は、3つです。

 

1.教科書やマニュアルはないのが普通なので、待たずに自分から質問すべき

2.自分の案を考えてから質問に行くと相手もそれなりの対応をしてくれる

3.半年〜1年、1.2.を意識して動いても周りが変わらないなら、場所を変えてOK

 

 順番に説明していきます。

 

1.教科書やマニュアルはないのが普通なので、待たずに自分から質問すべき

 上述の通り、当該別Grの彼の大変さは理解できる一方、彼自身も変わる必要があると、私は感じていました。特に気になったのは、出願業務として、発明の発掘や明細書のチェック、中間処理をやる上でのマニュアルが全くない、会社は若手社員のためにこれらを準備しておくべきなのにできていない、「僕らをどのように育てていくつもりなのか、それが見えないんですよ。全てが行き当たりばったりになってしまっているんです」、などの発言でした。

 これらを聞いて色々と言いたいことが頭をよぎったのですが、説教にならないように慎重に言葉を選んで(笑)、ひとまず彼には以下のように述べました。

 「会社はやはり学校のような教育機関ではないので、若手の教育が第一優先にはならない。みんな自分のタスクに精一杯で、業務マニュアル等を完全に整備している企業の方が少ないのではないか。一方で、聞けば教えてくれる人も多いから、自分から積極的に聞いた方がいい」

 彼は非常に不満そうな表情で、2.の冒頭のように述べました。

 

2.自分の案を考えてから質問に行くべき

「聞いたら聞いたで、今度は、『君はどう思うの?、自分でも考えてみないと』とか言われるんですよ。分からないことがあるから聞いてるのに、自分でも考えてみないとって、一種のパワハラじゃないですか」

 さらに言葉を選んで(笑)、私は彼に次のように述べました。

「『分かりません、教えてください』と言うと、自分では何もせず、問題の解決を全部振ってきていると思われるので、協力してもらえない。一方、力不足であっても自分でも解決策を考え、その内容について意見をもらうという姿勢で聞くと、自分も努力するつもりだが、まだ経験がないから色々苦労してるんだな、と相手も思うので、協力してもらいやすい」

 彼は、私の顔をじっと見つめて、黙り込んでしまいました。私の話す内容を少しは理解できるものの、まだ不満は残っているようです(笑)。そこで、さらに3.の前半のように、彼が現職場に愛想をつかしていいケースも語っておきました。

 

3.半年〜1年、1.2.を意識して動いても周りが変わらないなら、場所を変えてOK

 「自分の案を持って上司なり先輩なりに働きかける、これを半年とか1年とかやっても、なお上司や先輩が何も教えてくれない、ほとんどアドバイスがない、などであれば、その時はその上司らが悪いとして別の場所を求めて問題ないと思う」

 わずかな不満で簡単に異動する、職場を変えるなどをやってしまうと、どこにも定着できない恐れはやはりあります。一方で、世の中には極端に問題のある職場というのもあり、そのような職場からは出た方がいいのも事実です。

 上述のように、担当者として自分で考えた内容を提示しているのに、それに何ら適切なアドバイスや指示もしない上司、先輩がいたなら、これはやはりその上司らが問題、ということになります。よってそのような場合、自分のいる場所を変えるために行動を起こすことはおかしな事ではありません。

 彼は、少しだけ安堵したような表情になりました。何とかこの壁を乗り越えて、企業知財部員としてやっていけるスキル・姿勢を身につけて欲しいものです。

 

 私の周囲を見る限り、同じような壁にぶつかっている若者は決して少なくないと思われます。社会人として、ゆくゆくはリーダー、管理職となっていくためには、上記1. 〜3.は是非とも必要な考えと思われますので、今回は結果として説教くさくなってしまいましたが(笑)、私が受けた相談の内容を紹介させて頂きました。

 

 改めまして、本日のまとめを以下に記載します。

 

<本日のまとめ>

1.教科書やマニュアルはないのが普通なので、待たずに自分から質問すべき

2.自分の案を考えてから質問に行くと相手もそれなりの対応をしてくれる

3.半年〜1年、1.2.を意識して動いても周りが変わらないなら、場所を変えてOK

 

 皆さんはどのように思われるでしょうか?

 よろしかったらコメントを寄せていただければと思います。最後までお読み頂きありがとうございました。